2011年6月10日金曜日

夏場の節電対策と変形労働の特例的変更

5月23日のブログで、節電対策とフレックスタイム制のことを書きました。
その時に、『明日からフレックスタイムは中止』、と一方的にやらないで下さいと申し上げましたが、今般、変形労働時間制の変更・中止手続きについて、厚生労働省労働基準局長から通達が出ましたのでご紹介します。

変形労働時間制については、どこかで詳しく書こうと思いますが、基本は、フレックスタイム制と似ています。つまり、一定期間(対象期間)を通じて、1週間の平均労働時間が40時間以内に納まるようなら、特定の日に、8時間を超えて労働させても良い(残業代が発生しない)という制度です。

最もポピュラーな、変形労働時間制は1ヵ月単位の変形労働時間制でしょう。
1ヵ月の中で、業務の繁閑があるような場合に、多忙なときは遅くまで残って、暇なときは早く帰って時間調整するのですが、フレックスタイムと違うところは、会社が、毎日の労働時間を決めて社員に事前に通知しなくてはならないということです。

その他の変形労働時間制には、1年単位の変形労働時間制、1週間単位の変形労働時間制(限定適用)があります。事業場外のみなし労働は,変形労働時間制ではありません。

また、この変形労働時間制を導入するには、1ヵ月変形は、就業規則で詳細を定めるか、または労使協定を結びます。1年変形は,労使協定によってのみ、導入できます。

この労使協定は、1ヵ月変形、1年変形、どちらの場合も労働基準監督署に届出しなければなりません。様式は決まっていって、東京労働局のサイトからもダウンロードできます。

やっと本題に入りますが、節電対応のために、変形労働時間制の内容を変更したり、取りやめたりするときは、この通達の指示に従って、労使協定を変更して、再度労働基準監督署に届出する必要があります。この労使協定書は、様式が別に決まっていて、局長通達に添付されています。

要約しますと

  1. 対象となる変形労働時間制度は平成23年7月から9月までの期間を含んでいて、この3ヵ月間の変更であること、など
  2. 当初決めた変形労働の内容を変更するのは、節電対策のためであること
  3. 対象期間中に変形労働の内容を変更するときは、対象期間を通じて残業代が発生するようならきちんと計算して払うこと
  4. 変形労働を対象期間中に取りやめるときは、それまでの労働について,残業時間が発生するようなら残業代を払うこと、逆にそれまでの期間の労働が所定労働時間を下回っても、給与カットをしないこと
何故このような細々とした指示が出ているかというと、変形労働時間制を導入したら、対象期間の途中で勝手に変更や取りやめたりしてはいけないからです。この対象期間というのは、例えば、1ヵ月変形の場合は、その1ヵ月の期間ということです。今回の節電対応のため、特別に、期間中での変更、中止を認め、その条件と手順を指示しているということです。

変形労働時間制を英語で表現するとどうなるでしょうか。

  • 変形労働時間制         : Modified working hours system
  • 1ヵ月単位の変形労働時間制 : One month modified working hours system
  • 1年単位の変形労働時間制  : One year modified working hours system
  • 1週間単位の変形労働時間制 :  One week modified working hours system
変形労働時間制度を上手に使って、効率の良い会社運営を目指しましょう。

ではまた

日本労務監査協会では、就業規則のチェックを含めた労務コンプライアンス監査を行っております。
 詳しくは当協会のホームページをご覧下さい。

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 E-mail to:aljan@wine.ocn.ne.jp
 ALJAN事務局
 山本臣治 (YAMAMOTO Shinji)



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