2011年5月25日水曜日

会社の節電対策とフレックスタイム

東日本大震災によって、福島第一原発が損傷・停止し、発電できなくなったことで、夏場の電力不足が大きな話題となっています。企業、個人を問わず、一律15%削減という目標値を設定されて、節電対策に取り組むよう要請されています。昨年のような酷暑がやってこないことを祈りつつ、節電に協力しなくてはいけませんね。
ところで、多くの会社では、フレックスタイム制が導入されていて、出退勤の時刻は、対象社員の自主性に任せられています。私見ですが、会社の節電対策に協力する意味でも、夏場だけはフレックスタイム制を一時停止してはどうかと考えています。

フレックスタイム制というのは、1日の始終業の時刻を会社が決めないで、社員が自分の判断で、フレキシブルタイムという時間帯なら、何時に出社しても、退社しても、遅刻早退扱いにしないという制度です。フレキシブルタイムというのは、出社時間ゾーンと退社時間ゾーンのことです。例えば、出社は朝6時から10時までの間に出社すること、と決めているならその時間帯がフレキシブルタイムとなります。


その代わり、1ヵ月(清算期間)の所定総労働時間は、不足がないよう働く事が求められます。
例えば、ある月の所定出勤日数が20日で1日の所定労働時間が8時間なら、フレックスタイム制の元で、毎日の労働時間は凸凹しても、総労働時間は160時間を満たしていなければなりません。


他方、160時間に足りなかったときはその時間分を欠勤扱いとして給与カットをするのか、来月埋め合わせすれば良いことにするのかは、就業規則か会社と社員代表(または社員の過半数で組織される労働組合)との間で取り決めた労使協定で決めればよいことになっています。


また、その月の、1週間の平均労働時間が40時間を超えていれば、その労働時間は法定外労働となりますので、残業代が発生します。つまり、月末になって集計してみないと残業代が発生しているかどうかわからないということです。


フレックスタイム制の説明はこのくらいにして、何故、私が、節電対策として、フレックスタイム制の一時停止を提案するかというと、例えば、会社が独自にサマータイム制を導入して通常より1時間早く始業時刻を決めたとしても、フレックスタイム制の対象社員は、もっと早く来ても、遅く来ても構わないので、節電の効果が薄れてしまうのではないかということです。または、他の社員が一斉に4時に帰るのに、フレックスタイムの対象社員だけは夜7時まで残り、照明、エアコンを付けていれば、消エネになりませんね。


今年のように、日本全体が、エネルギー消費についても緊急対応を求められているときは、会社の制度も臨機応変に対応することができます。それは、就業規則の規程内容の変更手続きを取っても良いですし、対象となる社員への説明による制度の一時的変更の手法をとってもどちらでも良いと思います。私は、就業規則の変更まではやらなくても良いと考えています。


ただし、決して、一方的に「明日からフレックスタイム中止!」とやらないで下さい。


フレックスタイム制を導入するには、就業規則に規定が必要だ、と言いましたので、その規定を見ておきましょう。


第22条 フレックスタイム勤務
全社または各部門により、フレックスタイムでの勤務を行うことができる。


  1. フレックスタイム制度の適用は、各部の部長の責任において検討決定し、担当役員の承認を得るものとする。
  2. コアタイム:社員が必ず勤務しなければならないコアタイムは、午前11時から午後3時までとする。ただし、休憩時間は正午から午後1時までとする。
  3. フレキシブルタイム: 事業時間帯は、午前7時から午前11時、就業時間帯は午後3時から午後10時までとし、自己の判断で始業及び就業時間を決定するものとする。
  4. 就業時間の清算期間は、毎月1日を起算日として当月末日までの1ヵ月とする。ただし、清算期間における所定労働時間は、8時間にその月の所定労働日数を乗じた時間とする。
Article 22 Flextime system
The Company may install a flextime system supplied to all or part of employees.
  1. General Manager shall study and decide the installation of flextime system and shall apply for an authorization to the director concerned.
  2. Core time:
    From 10:00am to 3:00pm, all employees must be presented in the office except the break time from noon to 1:00pm.
  3. Flexible time:
    The employee under the flextime system shall start  working between 7:00am to 11:00am and stop working between 3:00pm to 10:00pm by his/her own decision.
  4. The calculation of working hours shall be made for the period between the first day and the last day of each month. The regular working hours during such period shall be calculated by the following formula.
    8hours times designated working days of the month.
ではまた

日本労務監査協会では、就業規則のチェックを含めた労務コンプライアンス監査を行っております。
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 ALJAN事務局
 山本臣治 (YAMAMOTO Shinji)

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